矛盾ケヴァット

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【バンドリ】BanG Dream! 3rd Season 5話感想

ネタバレだよ!全員撤退!!(雑警告)

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1~4話の感想はこちらから。最速先行上映を一度観た直後の感想なので、いまいち拾い切れていないところもあることをご了承下さい(Step × Step!で沙綾が作詞作曲してたのにこの時点で気づいていないとか)。

 

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4話はRASの超絶カッコいいMVに尽きるわけですが、それを受けた5話は、ポピパも自分たちのMVを作ろうという展開になりました。圧倒的な資本力と編集技術に立脚したRASのMVと比べれば、完成したポピパのMVは映像クオリティ的にはハッキリ言って大幅に見劣りします。けれども、動画制作に不慣れな高校生が一生懸命に、そして楽しんで作ったであろうことがこれ以上なく伝わるMVとなっており、その心躍らされるような賑やかさは「これぞポピパ」と言えるものでした。あのRASのMVに対し、バンドとしての力で立ち向かえている、決して見劣りしないMVに仕上がっていたと思います。

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実は僕はAviutlを用いての動画編集には多少の心得があるので技術的な部分にもある程度であれば語ることができるのですが、間違いなく、ポピパのMVは編集的には何一つ大したことはしていません。本当に素人がちょっと調べれば到達できる程度の編集技術だけで作られています*1。ただ、だからこそポピパのMVにおいて強烈に際立っているものがあり、それはその素材の豊富さです。作中でも描写されていましたが、本当に大量の素材を投入しており、これほどの素材を用意できることがポピパの強さであるということが明快に伝わる描写となっています。

主として素材となったのは牛込りみが記録し続けたスマホの画像、そしてポピパメンバーが持っていた写真の数々でしたが、その一方で周囲の人たちの協力も欠かせません。動画を制作するにあたって、ポピパメンバーの親族、ガルパ5バンド、地域の人々、そして最近仲良くなった六花といった面々に出演協力を仰ぎ、そして友希那さん以外の全員が快諾してくれました。1期で、ガルパで、2期で紡いできた、周囲とのキズナがまさにポピパの武器となっているのです。普段目に見えるものではないキズナという抽象的な概念が、大量の”動画素材”という形で視覚化されるというのは本当に舌を巻くに値する表現であったと思います。

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この動画素材については更に踏み込む価値があります。上記の画像は『いつか届け、アタシの詩』イベントにて香澄が語った作詞手法なのですが、キラキラドキドキとは何かを紐解く上でも極めて重要な発言です。

さて、今回のMVで用いられた素材も、混じりっけなく「ごく当たり前の日常」から汲み取られたものですし、採用された楽曲はポピパ楽曲の中でも最もごく当たり前の日常を歌ったぽっぴん’しゃっふるです。つまりはポピパメンバーが気づいて拾い上げてきたキラキラドキドキが詰まったMVと言い換えることもできます。

また、周囲の人たちの協力を得て新たに用意した素材は動画でしたが、りみのスマホを中心とした既存の素材は主として画像でした。画像というのは被写体のその瞬間、つまりは”今”を切り取って保存するものです。バンドストーリー2章『二重の虹』で語られたように、ポピパにとっての時の流れとは常に”今”の連続体であり、”今”である素材を集積して作られたMVは、ポピパの時間軸をこの上なく表現したものでもあります。

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また、今回集められた画像は、その瞬間に起きている”偶然”を切り取ったものでもあります。そもそも撮影しようと思うような心の動きが起こらなければシャッターは切らないわけで、撮影された画像の全てには何かしらの心駆り立てる”偶然”が記録されているはずなのです。その意味では、このポピパのMVは”偶然”を集めて育てた『奇跡』のMVとも言えます。それを印象づけるかのように、使用された素材の中には上記画像の出典である『君に伝うメッセージ』の香澄の姿がひと際目立って取り上げられているのです*2

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キズナであり、ごく当たり前の日常であり、キラキラドキドキであり、今であり、偶然でもある。そんな多重の意味合いが込められた豊富な動画素材から作られたMVは、必然的に「ポピパとは何か?」を雄弁に物語る映像となりました。拙い編集技術でもその素材を集められる力で、あのRASのMVに対抗することができているという、ポピパの強さを象徴する映像にもなったと思います。

 

2話と3話は同じディスクに収録されたため、朝日六花の演奏の違いを比較できるようになっていました。同じように、4話と5話もRASとポピパのそれぞれのMVを比較できるようになっています。続く6話ではどうやらロゼリアとRASの直接対決、Rausch und/and Crazinessの再現となるようです。事前に話があったように、俄然”バトルもの”としての色彩を帯びてきましたね。であれば、6話と7話でもまた、ロゼリアのライブとRASのライブを比較できるような仕掛けが用意されているのかもしれません。

あーでも、次の発売日は3/4ですか……。この状態で1ヶ月半待つというのはなかなか辛いものがあります。

 

その他小ネタ

 5話はポピパのMVが全てといった感じだったので、他は箇条書きでまとめていきます。けど、情報量は非常に多い回でもありました(情報量が少ない回が根本的に無い作品ですが……)。

  • 沙綾が自分の変顔をMVに使われないために、オッちゃんの画像を使うようやたら推奨するシーンが滅茶苦茶好き。山吹沙綾がこういう純然たるエゴを剥き出しにする姿というのは本当に貴重……
  • 動画をアップする際に全員でその責任を等分しようとする姿がまた良い。たりないトコははんぶんこだねと……
  • もういちど、ルミナスが「良きMVの例」として挙げられて思わずガッツポーズが出た。これも「パスパレとは」を真正面から描いた『そのバンドを物語るMV』として好例だし、その上で芸能事務所の資本が頼りなのでポピパのMVには活かされることがなかったという絶妙な扱い方も含めて素晴らしい
  • でも費用ケチるためにロケ地を近場の千葉で済ませた辺りが無能スタッフらしくて笑うよね
  • 彩が牛にたかられるとか麻弥さんがGBで透けるとか彩が撮影中に寝落ちするとかの裏話がいちいち面白いし、それら全て日菜が求めている予定調和でない出来事なのが分かるのも納得モンですね
  • 友希那さんはMVなんか必要ないと言っているので、Neo-AspectのMVはこの世には存在しない設定なのかもしれない
  • ハロハピは大会なんかよりも世界を笑顔にする方が優先なので辞退。まあ勝負事になるとはぐみの扱いは慎重を期す必要があるので。あとやっぱハロハピってポピパ視点でも忙しいのね……
  • マスキングと商店街メンバーに面識がない(であろう)理由も判明。幼稚舎から付属に行ってたから。そしてそれ故に失われた青春をRASに求めているマスキング。ああ、2期で傷心のレイヤにケーキ作りたがってたのってそういう……
  • 1話でマスキングがドラムソロを披露している際に沙綾が何かに勘付いていたので、沙綾側はマスキングに心当たりがある可能性はありますね
  • ポピパにMVの作り方を教授した恩人とはいえ、MVのラストを飾るの完全に役得でしかないな六花……
  • 明日香は「この人達じゃなきゃ」という六花の思いを汲んでくれるのに、六花の方は明日香にRAS入りを話していない。朝日六花なー!お前なー!そういうとこがなー!
  • これは4話以前の内容になりますが、2話では放課後からパレオが参戦、4話では早朝に六花を呼び出していたことからも、チュチュ様は各メンバーの学業にも配慮してRASの活動を取り決めている可能性が高い(文化祭は知らなかっただけで)。となるとパレオ学校通ってんの? え? あの髪で???

*1:フォントの使用に限っては例外になりますが、MV中の文字全部をポピパメンバーが全部手書きして取り込んだとすれば、その例外にすらあたりません。

*2:背景は『SAKURA BLOOMING PARTY』の方が近そうですが、構図は『君に伝うメッセージ』そのものです。これは意図的に混ぜたものであろうと思われます