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【ガルパ】『凛と薫る風の調べ』から見えた、八潮瑠唯の現在地

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『凛と薫る風の調べ』イベントが開催されました。その1ヶ月ほど前に開催されたMorfonicaの箱イベント『羽ばたきのためのエチュード』の正統続編とも言うべきイベントストーリーで、桐ヶ谷透子がMorfonicaというバンドの中で活動していく内に直面した壁に、バンド外の人々と交流していくことで解決の糸口が見つかっていくという、まさにバンドリ!ガールズバンドパーティ!の魅力が凝縮されたかのようなシナリオでした。

これは僕がTwitterで定期的かつ声高に叫んでいることなのですが、ガルパは箱イベントという縦糸と混合イベントという横糸が織り合わさって1つの巨大な名画を形作っていく、世界史のような構造をしていると思っています*1。今回のイベントは、ガルパという史記においてはさしずめ”新大陸”とでも言うべきMorfonicaが、その緻密で精妙な物語に最高の熱量で組み込まれていったことが実感できるイベントでした。既存の5バンドで織り成す物語があまりにも完成されていただけに、Morfonicaという新要素が”異物感”を帯びてしまわないかということは実装当初から心配だったのですが、今回のイベントでその憂いは完全に払拭されたと言って良いでしょう。

いま、Morfonicaの物語はその縦糸と横糸を他5バンドの物語と完全に不可分のものとして縫合され、もはやMorfonicaの物語を読まなければ他のバンドの物語も完全には理解できず、また他のバンドの物語を読まなければMorfonicaの物語も完全には理解できない段階に至りました。悪いことは言いません。さあ、ガルパのイベントストーリーは、全て読もう!!*2

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ガルパのイベントストーリーを全て読んでほしいという気持ちが逸りすぎて前置きが長くなりましたが、今イベントの源流となる『羽ばたきのためのエチュード』以来、僕はとうるい、桐ヶ谷透子と八潮瑠唯のカップリングにハマりつつあります。論理性を持たない桐ヶ谷透子、衝動性を持たない八潮瑠唯、己に無いものを相手に見つつ、しかしやはり自分と対極の性格のため激しくぶつかり合う――そんなケンカップルとも言うべき2人の関係性に大変に惹かれています*3。本記事はこのカップリングにハマりつつある僕の視点から、『凛と薫る風の調べ』イベントを考察したものになります。このイベントを通じて桐ヶ谷透子が輝かしい一歩を踏み出した一方、それによって八潮瑠唯には影が落とされた格好になりました。八潮瑠唯が今どんな立ち位置にいて、そしてそこからどう歩んでいくのか――そういったところまで予想と妄想を入り交えながらまとめ上げた記事になっています。

 

桐ヶ谷透子の弱みと強みを同時に鍛える梁山泊

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『凛と薫る風の調べ』で行われたことは、端的に表現するならば桐ヶ谷透子専用の梁山泊が形成されたようなものでした。上記画像にもあるように*4、『羽ばたきのためのエチュード』で瑠唯が毎日10時間の練習を当たり前にこなしていると知り、自分の練習不足を痛感してもなお、基礎練習にかったるさを感じていた割と浅いところでギターを舐め腐ってる透子でしたが、その透子の基礎力を底上げしたのは基礎力モンスターと呼んで差し支えない氷川紗夜でした。あろうことかあの氷川紗夜に対し、ファーストフード店で偶然に出会った透子が軽々しくも指導を乞うことで、異色の師弟コンビが実現したのです。2人を繋いだポテトに感謝!

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とはいえ、最近は丸くなってきたものの本質的に合理と禁欲の鬼である紗夜単体では、瑠唯と同様に透子とは衝突するだけで終わったかもしれません。今回、その正反対の2人の橋渡し役を務めたのが花園たえです。「ギターは弾きたい人が弾く」がモットーであることからも透子の衝動性に寄り添える上、ポピパに加入するまでは長らく1人でギターを弾き続けていたことからも紗夜に比肩する基礎力の持ち主であるたえは、本来ならばすれ違いが起きてしまう2人を結びつける存在としてうってつけの人材と言えます。

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しかしながら、紗夜とたえの指導は早々に行き詰まりを迎えます。紗夜もたえも地道な練習をコツコツ重ねてきたタイプの努力家なのですが、それはゴール無きマラソンをひたすら続けていくような、ある種のストイシズムがあってこそ為せる業です。そもそもギターというパートを選んだのも目立ちたいからという単純極まりない動機であった透子にそんなストイシズムが備わっているわけもなく、もっと透子の気質に合った指導ができる人物が必要でした。

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そこで登場したのが瀬田薫です。透子が目指す目立つギターとして最良のお手本でもある薫の指導により、観る者を魅了する派手なパフォーマンスを身につけ、更には演奏技術そのものも向上するという思わぬ副作用がもたらされました。また、薫の指導はステージ上で誰より目立てる自分の姿を想像しながら練習できるため、紗夜とたえの指導には欠けていた”理想像”を透子に与えてくれるものでもあります。薫という最後のピースによって透子は目指すべき己の姿を見定めることができるようになり、紗夜とたえは”理想像”に合わせて透子に足りない基礎力を鍛えていけるようにもなったのです*5紗夜とたえからは「やりたくないけどやらなければいけないこと」を、薫からは「やりたいこと」を同時に学び取れる、まさに理想の指導環境が整いました。

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3人(と薫の通訳を務めた美咲)の指導を受けた史上最強の弟子は、ライブ本番で師匠達の胸をも打つ最高のパフォーマンスを披露して見せました。『羽ばたきのためのエチュード』から『凛と薫る風の調べ』を経て、桐ヶ谷透子という1人のキャラクターがまさに大きく羽ばたくに至ったのです*6

 

桐ヶ谷透子の成長に対する、違和感だらけの八潮瑠唯の受け止め方

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以上が今イベント本編の顛末であり、非常に素晴らしいイベントであったことに疑いの余地はないのですが、こうなってくると、本編では出番のなかった八潮瑠唯のことが気にかかります。『羽ばたきのためのエチュード』でも、瑠唯は透子の演奏が何故向上していったのか理解できませんでした。その原因は当該イベントでも語られていた通り何故現実を見ずに感情に従った行動で結果が出せたのか分からないというものでしたが、今回は更に瑠唯が理解に苦しむであろう要素が加わっています。

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誰あろう、透子のパフォーマンス力を向上させる立役者となった瀬田薫の存在です。上記のカード名は[未知との遭遇]というあまりにもあんまりなタイトルが付けられてしまっていますが、瑠唯にとって瀬田薫が理解しがたい人物であることは間違いないでしょう。『花明かりのシンフォニー』での瑠唯と薫の会話はかなり短く、深い交流があったとは言い難いのですが、その会話の噛み合わなさは短い描写だけでも汲み取れるものでした。

即ち、今イベントに瑠唯の視点を導入すると、瑠唯が理解不可能な桐ヶ谷透子が、同じく理解困難な瀬田薫の影響で大きくパフォーマンス力を向上させたという、瑠唯を迷路に陥れるには十分すぎる事態が起きているのです。これは、瑠唯の反応が楽しみだぜ!!

そして幸いにも、それは今イベント中できちんと回収されました。前述の通りイベントストーリー本編に瑠唯は登場していませんが、透子の報酬★3[荒削りなメロディ]の左エピソードにて透子の成長を垣間見たMorfonicaメンバーの反応が描写されており、当然瑠唯の反応も窺い知ることが出来ます。さあ、大幅な成長を遂げた透子に対する、瑠唯の受け止め方や如何に!?

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……思っていたよりもあっさりしていました。まあ、『羽ばたきのためのエチュード』では「とても披露できるクオリティではないわね」と述べていたわけですから、それに比して「良くも悪くもない」というのは格段に評価が向上しているとも言えます。当該エピソードが「一方通行な関係?」というタイトルであることからも、塩対応を続ける瑠唯に噛みつき続ける透子の関係性を描いたものとして受け止めるのが妥当であると結論づけて終わらせても良いのかもしれません。このコンテンツがバンドリ!ガールズバンドパーティ!でさえなければ

……そう、この作品においては、こういったちょっとした違和感がキャラクターの重大な課題を浮き彫りにしていることがあまりにも多く、ここは注意深く読む必要があります。

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そもそも、透子が自身の演奏・パフォーマンス向上のエビデンスに求めたのは観客の反応でした。前章ラストの画像にも引用した通り、師匠たる薫も観客の反応から透子の成長を称賛しており、今イベントで語られた内容を受けるならば透子の主張は全面的に正しいと言うべきものです。であれば、間違っているのは瑠唯の方でしょう。瑠唯の反応として引用した2つの画像のセリフを読めば分かるのですが、ライブであるにもかかわらず、透子の評価に際して瑠唯は透子の演奏だけにしか目を向けていません。もっと言えば、瑠唯は観客のことなど一瞥もくれていないのです。

これはとてつもない事実を示唆しています。今イベントの桐ヶ谷透子の成長を理解するには「観客への意識」を持っている必要があり、本編に登場した透子や師匠達や美咲は当然にそれを持ち合わせていたので透子の確かな成長に胸動かされることになりました。ところが、八潮瑠唯はその大前提レベルの「観客への意識」を持っていないため、透子の成長を本当の意味で受け止めることができないのです。当該左エピソードのタイトルが「一方通行な関係?」と題されているのは、本当にとんでもないミスリードでしかありません。透子が瑠唯を噛みつきながら追いかけているようでいて、追いかけられる側のはずの瑠唯は今イベントにて透子に決定的に置いていかれたとさえ言えます。本当に追いかける側にならなければいけないのは、八潮瑠唯の方でしょう。

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更に、Morfonicaの物語を遡るならば、前身であるツキノモリ(仮)時代に初めて披露したライブでの観客の反応が他のどのバンドよりも悪かったことが最初の挫折となり、一時は倉田ましろがバンドを脱退するまでの騒ぎに至りました。その挫折を乗り越えたからこそ今のMorfonicaがある……と言いたいところなのですが、あの場に、八潮瑠唯はいませんでした。透子のみならず、あの日の無念を味わったましろ、つくし、七深には当然大小なりとも「観客への意識」は芽生えているはずなのですが、最初の挫折を味わわなかった瑠唯だけはそれを獲得していないという決定的な隔絶が横たわっているのです*7。確かに瑠唯は音楽面でMorfonicaを引っ張る存在ではありますが、「観客への意識」という一点において、そしてバンドリ!ガールズバンドパーティ!が何よりも大切にしているキャラクターの人間的な成長という側面において、八潮瑠唯の現在地は今、誰よりも最後尾にあります。

 

八潮瑠唯の道標となるRoselia、チュチュ、そして……

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八潮瑠唯にとって幸いなのは、同じ課題に今まさに直面している先輩がいることでしょう。アニメ3期7話について、僕は今でも納得がいっていないのですが、Roseliaが今後向き合うべき対象がオーディエンスであるという点については全面的に首肯できるものです。FWFで頂点に立つという大きな目標を達成した今後のRoseliaの進む道としては、”音楽を売るための場所”として湊友希那がかつては忌み嫌っていたメジャーシーンへと殴り込むような展開になると思われますし、その際にはどうしても観客を意識した演奏ができるようにならなければなりません。これまで自分達の音楽を高めようとしているだけだったRoseliaにとってはまた、1つ大きな壁が立ちはだかってくるものと思われます。

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その点を踏まえると、今イベントはRoseliaにとっても氷川紗夜が瀬田薫に師事するという大きな進展もありました。これは重要な点なのですが、”ギタリスト”としての瀬田薫はガルパギターメンバーの中では下から数えた方が早い程度の存在です*8ハロー、ハッピーワールド!歴=ギター歴であるからにはそれは仕方ないのですが、これがパフォーマー”としての瀬田薫となると演奏技術では上位クラスの氷川紗夜すらも一目置く存在となるわけです*9。音楽を技術だけで一元的に捉えない、ガルパの多面的な筆致が際立った描写でもあったと思います。

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感慨深いのは、Roselia 1章2話、Roselia加入前に元いたバンドと喧嘩別れした時点での紗夜がパフォーマンスを誤魔化しの技術と蔑んですらいた事実です。Roseliaでの活動を経て、あの日”誤魔化し”とまで表現したパフォーマンス力を、自分のものにしようとするまでになりました。そしてかつての氷川紗夜の姿は、そのまま現在の八潮瑠唯の姿そのものでしょう。桐ヶ谷透子が手にしたパフォーマンスとしての演奏を”雑音”程度のものとして切って捨てている八潮瑠唯がいて、一方、桐ヶ谷透子の基礎力の向上に貢献し、更には自分もパフォーマンスを磨こうとしている氷川紗夜がいます。基礎力の部分は当然瑠唯も理解できる範疇のものでしょうから、氷川紗夜は八潮瑠唯が理解できる形でパフォーマンスの価値を語ることが出来る人物です。他、瑠唯は既に友希那とも懇意にしつつあり、更には燐子との過去も伏線として控えています。Roseliaメンバーが瑠唯に与えるものは非常に大きなものとなりそうです。

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ところで、「観客への意識」についてはともかく、瑠唯が他人からの評価をどう思っているかという点についてはMorfonica 1章にてヒントとなる描写があります。「トップになれなければ意味がない」という思想は親の影響が強いと思われますが、では何をもってトップと見做すのかという価値基準は、幼少期に度々受けていたコンクールであったと明言されています。さて、コンクールで評価を下すのは審査員という権威です。コンクールというのは、どれだけ観客を熱狂させるかではなく、教科書的な演奏が求められる場です。実は幼少期の八潮瑠唯は観客には高く評価されていたがコンクール向きの演奏ではなかったために芳しい評価を得られず、そして審査員の評価を気にしてしまう性格と家柄であったために挫折してしまったのではないか……僕はそう睨んでいます*10

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そして、バンドリ!には、それこそ審査員という権威から偽りの称賛を与えられ続ける屈辱を味わった人物がいます。その人物は、当時の挫折を乗り越えて今、どんなバンドよりも観客を熱狂させる音楽をプロデュースしており、そしておそらくは次のイベントにて本格参戦を遂げ、Morfonicaと同様、新たなるバンドリ!ガールズバンドパーティ!の一員となっていくことが約束されています。きっと、八潮瑠唯が受け続けた審査員からの謂れなき評価を、ブッ潰してくれるはずです。理不尽なオーダーなど、従う必要などないさ。終わらせようかこの茶番★ 今すぐホラ。

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そして、八潮瑠唯に欠けているものを何よりも大切にしているのがハロー、ハッピーワールド!です。今そこにいる他人を笑顔にしていき、やがて世界全体を笑顔にすることを至上目的とするハロハピの理念は、間違いなく瑠唯の嫌う現実離れそのものですし、今の瑠唯が理解することは難しいものでしょう。しかし、このバンドの物語はドラムに挫折した松原花音が弦巻こころと出会い*11他人の評価からしか自分の技量を知ることなどできないと諭されたことで始まるものです。それは審査員の評価を真に受けた瑠唯の過去を肯定するものでもありますが、同時に観客の評価を度外視している瑠唯の現在を否定するものでもあります。そして、ハロハピが求めている他人の評価とは、後者の観客の評価なのです。

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そして、『花明かりのシンフォニー』において、八潮瑠唯に足りないものを(間違いなく無自覚とはいえ)北沢はぐみが端的に指摘したワンシーンがあります。自分自身がバンドを楽しむこと、そして観客も巻き込んだ楽しいライブにすること。今の八潮瑠唯にとってはそのどれもがあまりにも遠いものですが、Roseliaからも、RASからも得られない、しかして八潮瑠唯に不可欠なものを、おそらくはハロハピから吸収していくことになると思われます。

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Morfonicaの物語の当面の目標はCiRCLEでライブをし*12、そしてガールズバンドパーティの一員になっていくことです。メインストーリー1章のクライマックスにおいて、戸山香澄がその場にいる全員の高揚感を感じ取り、クインティプル☆すまいるの最後の歌詞を「ドキドキで楽しいっ!!」で埋めて完成させるという一幕がありました。であれば、Morfonicaもライブを通じて「ドキドキで楽しいっ!!」という同じ気持ちを感じられることがガールズバンドパーティの一員になる資格として求められてくるのですが、それはつまり、ライブという同じ時を共有する観客を度外視している今の八潮瑠唯がいる以上、Morfonicaにガールズバンドパーティの一員たる資格が無いとも言えるわけです。

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Morfonicaの物語は、現状最も立ち遅れている八潮瑠唯が、どれだけ己の殻を破っていけるかに委ねられています。メンバーに笑顔を見せていけるようになり、観客を意識できるようになり、ライブを楽しいと思えるようになっていけるまで、どれだけの時間がかかるかは分かりませんが、今回大きく羽ばたいた桐ヶ谷透子のように、彼女にもいずれ飛躍の時が来るのでしょう。ただ、今回のイベントは、それがとてもとても遠い未来になることを予感させるほど、八潮瑠唯の現在地が極めて後ろにあることを感じさせるものでもありました……。

*1:月刊Newtype2020年3月号のインタビュー記事にて、ブシロード木谷高明会長は「バンドリ!は終わらない大河ドラマ」と表現しています。全面的に信頼することは難しい人物でもありますが、この辺りの解釈については心の底から頷けるものです。

*2:ガルパの物語はキャラクターやバンドの関係性が有機的に絡み合い、35人のキャラクターが双方向的に大きな影響を与え合うため、全てのイベントストーリーを読むことでようやくその大河的で巨大な名画を一望できる性質を持っています。なので本当に、全てのイベントストーリーを読む必要がありますし、そしてその価値が大いにあるのです。

*3:何気にここまで真っ向から激突するケンカップルはガルパでは初と言っていいものでした。近しいのは蘭と友希那でしたが、友希那の方が悠然と構えすぎていてどうしてもお互いが感情をぶつけ合うような関係にはなりませんでしたし。

*4:出典は桐ヶ谷透子★3[悔しさの先に]左エピソードです

*5:本編で紗夜は「薫のクセが透子のクセを上書きした」と自己解決していましたが、これは見当違いでありミスリードでしょう。紗夜とたえが提示できない透子の”理想像”を薫が提示できたことが決定的であると考えるべきです。

*6:flame of hopeも「エチュード(練習曲)」から「風の調べ」へと姿を変えたと言えます。その”風”とは言うまでもなく桐ヶ谷透子の羽ばたきから生じるものでしょう。

*7:まあ、ツキノモリ(仮)に瑠唯がいれば、他の4人もその挫折は味わわずに済んだかもしれません。その意味で、構造的なレベルで瑠唯だけが味わうことができない挫折を、他の4人は味わうことができたという強烈な皮肉がここに存在しています。

*8:まず日菜、紗夜、たえ、六花よりは確実に技術的に劣るでしょうし、モカも演奏技術の面が作中で称賛される描写も多いことから、単純なギタースキルで薫が上回れるのはギターボーカルの香澄と蘭、そして今回指導にあたった透子くらいであると思われます。蘭に関しても中2からギターを始めているため、薫が上回れるかは怪しいところです。

*9:パフォーマンス力で薫を上回れるのは、全パート見渡しても同じバンドのこころとミッシェル、あとはRASメンバーくらいでしょう。アイドルであるパスパレメンバーでも厳しいと言わざるを得ません。

*10:この辺りの概念は「ピアノの森」という漫画を読んでいるとスッと入ってきます。主人公の一ノ瀬海は観客を誰よりも熱狂させる「コンサート」的な演奏ができるのですが、一方で「コンクール」からは嫌われ不遇な評価を受けます。一ノ瀬海はそれでも自分のピアノを貫ける強さを持っていましたが、もしそういった人物がコンクールの評価を気にしてしまう性分だったなら……? 八潮瑠唯がそんなキャラクターであるような気がしてなりません。

*11:松原花音がドラムを始めてから挫折するまでの経緯をそろそろ明かしてほしいものです。

*12:アニメ1期のキャッチコピー、「私たち、絶対ここでライブします!」を受け継いだもので、1期ポピパのSPACEに当たるものがMorfonicaにとってのCiRCLEになっています。