矛盾ケヴァット

Twitter: @halkenborg

【バンドリ】夢を撃ち抜いたその先の旅 ~ぽっぴん’どりーむ!感想~

あけましておめでとうございます! 昨年は1件しか記事を書いていない程度にはこのブログも休眠状態でしたが、何と2022年は年明け早々に稼働することになりました。いや、だって、僕もポピパの一員なので……。

f:id:halkenborg:20220110215239j:plain

というわけで劇場版BanG Dream!『ぽっぴん’どりーむ!』の感想記事となります。アニメ軸としては1年9ヶ月ぶりの新エピソードを引っ提げての劇場版。元旦からアニメ映画を観に行くというちょっと人としてどうかと思う正月の過ごし方をしてしまいました。とはいえ、その内容は大変に満足の行くものでしたし、そして、これからのBanG Dream!の進み方を確かに示してきた一作でもあったと思います。

 

 

“夢を撃ち抜いたあと”に何を夢見ればいいのか ~Poppin'Party~

f:id:halkenborg:20220111042441j:plain

本作はアニメ3期の直後、ガールズバンドチャレンジを成功させた後の武道館を外から見上げるところからスタートします。つまりは、Roseliaと、そしてRASと、キラキラドキドキしながら夢を撃ち抜いたあとの話です。今回物語にほとんど関与しなかったRoseliaはガルパの『ノーブル・ローズ』シリーズの渦中であり、FWFへの参加を理由にグアム行きの誘いを辞退します。とはいえRoseliaの存在はFWFという確固たる夢を持っている存在として、撃ち抜くべき夢が無くなった戸山香澄に突き刺さるものでもありました。

その後、グアムに行く前日、そしてグアムでの初日の夜に、戸山香澄は星の鼓動を感じたあの日の光景を夢に見ます。幼き日に見上げた夜、妹の明日香はその星の鼓動を理解してはくれず、その星の鼓動は戸山香澄ただ1人だけのものでした。2度目の夢の光景では、ポピパのメンバーが一緒にその星の鼓動を感じてくれます。アニメ3期12話では、「星の鼓動は、みんなだった!」という印象的な言葉が飛び出しますが、まさにそれを象徴したシーンと言えるでしょう。とはいえ、ここまでならアニメからの発展は何もありませんでした。

f:id:halkenborg:20201120192737p:plain

詳細はグルミク記事のPhoton Maidenの項で散々書いたのでそちらに譲るのですが、早い話が星の鼓動とは世界との一体化であり、「一は全 全は一」です。この事実がもはや説明不要の真理であることは、本作にてグアム行きを勧誘してくれることとなったデス・ギャラクシーの元メンバー宇咲宙のキャストがよりにもよって朴璐美さんであったことで、間接的に答え合わせをされたと言っていいでしょう。そういえば、ラーメン銀河店主の声も山口眞弓さん*1でしたし、未だに口を開いていない銀河青果店店主(ますきパパ)の声もハガレンキャストだったりするのではないでしょうか。釘宮理恵さんとかでいいんじゃない?

話が逸れましたが、これまでの物語で星の鼓動とは何なのかというのは、直接的な明言はされていないにせよ語り尽くされてきたわけです。ですから、あの日感じた、けれども誰にも理解されることのなかった戸山香澄の星の鼓動は、今や自明の理なのです。そして、それを伝えるだけの力を戸山香澄は手にしてきました。

LOOK!

その一言だけで、遠く離れたグアムの人々へと星の鼓動を届けられるだけの存在になりました。夢の中でしか感じられなかった星の鼓動を、多くの人と共有できるようになったわけですから、この瞬間、夢を撃ち抜いたあとだった戸山香澄が新たな夢を撃ち抜いたのです。

そして本作は、アニメシリーズの幕開けを飾ったときめきエクスペリエンスを最後に演奏することで、つまりは始点と終点を繋ぐCiRCLINGを形成することで幕を閉じました。ハピネスとミラクルを乗せて“はじまり”を告げている――。夢を撃ち抜いたあとであっても、また何かが始まっていく予感を感じさせながら、戸山香澄の星の鼓動は未来を志向するものへとその性質を変容させたのです。

……と言っても、じゃあその未来って何? 具体的には? と思われるかもしれません。ただ、その答えも本作に明言こそされることはなかったもののきちんと示唆してきたというのが僕の持論です。それについては後述することとして、ひとまずは今回活躍することとなったもう2つのバンド、MorfonicaとRAISE A SUILENについての感想を述べたいと思います。

 

リアルバンドとのリンクの体現者 ~Morfonica~

FILM LIVE 2ndにて演奏を披露することこそありはしましたが、Morfonicaがアニメの本筋に登場するのは紛れもなく本作が初と言えます。僕個人としては特にとうるい(桐ヶ谷透子と八潮瑠唯のカップリング)にドハマリしており、リアルバンドも含めてかなりMorfonicaには心酔している身でもあるので、率直に言ってどういう扱いになるのか、若干の不安もありました。

結論から言えば、かなり丁寧な扱いをされたと言えます。最後にマスキングを捜索した5人がマスキングの到着を早めるなどの影響を持てなかった辺りは不満ですが、制作段階ではおそらく『花明かりのシンフォニー』が限度だったであろう情報量から、可能な限りその魅力を引き出してくれていたと思います。いや~、特に桐ヶ谷透子は魅力全開でしたね。グアムの人々とも秒で打ち解け、ポピパのアコースティック演奏では感情を露わにし、先輩達の窮地では率先して立ち上がり、おずおずと立ち上がったシロを見ると溺愛するという活躍ぶり! あ、スミマセン、最近桐ヶ谷透子のことを本気で推しちゃってるので取り乱してしまいました。誕生日ガチャでウッカリ天井到達しましたし*2

f:id:halkenborg:20220111011413p:plain

また、戸山香澄の原初の夢とこれからの未来をCiRCLINGさせたときめきエクスペリエンスは、Morfonicaにとっても非常に大きな意味を持つ1曲です。Morfonica 1章にて、倉田ましろがCiRCLEで初めてバンドというものに触れたPoppin'Partyのライブ。そこで耳にしたのもまた、ときめきエクスペリエンスでした。即ち、ときめきエクスペリエンスは、倉田ましろの、そしてMorfonicaの“はじまり”を告げた曲でもあります。『ぽっぴん’どりーむ!』にてときめきエクスペリエンスを堪能する時の倉田ましろの表情は、まさしくMorfonica 1章の★3カードの表情そのものでもあり、ポピパが未来へと伝えていく意志を体現したシーンにもなっていました。

とはいえ、本作におけるMorfonicaの役割は、キャラクターとリアルライブのリンクを更に深化させるという『ぽっぴん’どりーむ!』のコンセプトの体現に終始していたと受け止めています。Morfonicaがライブで披露した金色へのプレリュードは、リアルバンドMorfonicaを語る上では絶対に欠かせない、ある種の伝説となったパフォーマンスを見せた曲であり、『ぽっぴん’どりーむ!』ではその伝説が余すところなく再現されていました。

ガルパの3周年と共に実装されたMorfonicaは、香澄達よりも1学年下の後輩バンドと位置づけられ、リアルバンドの方もそれを踏襲してか、ミニライブやオープニングアクトなどで徐々に場数を踏んでいく予定でした。ですが、折しも時代は新型コロナウイルスパンデミック最初期。舞浜でのミニライブやメットライフドームでのGirls Band Partyは相次いで中止となり、リアルバンドMorfonicaの初舞台はいきなり富士急8th Liveという大舞台となります。『ぽっぴん’どりーむ!』にて、結成ホヤホヤの時期と目されるMorfonicaがグアムのSAVE the Dreamという大きすぎる舞台に立ったのは、リアルバンドMorfonicaが結成当初に置かれた苦境との明確なリンクそのものでした。

ですが、その初ステージでのMorfonicaのパフォーマンスは本当に胸打たれるものでした。カバー曲のchAngEでは、イヤモニの故障から起きた変調を、バンド内では経験者にあたるmikaさんとAyasaさんが率先して立て直し、そして初ライブにしてイヤモニを外して歌い抜ける進藤あまねさんなど、突然のアクシデントをスペクタクルに変える様は、それだけ一本の物語が作れるほどでした。ですが、このライブに置ける本当のクライマックスは、その後の金色へのプレリュードです。金色に輝く未来を歌ったその曲で、夕焼け空が金色に輝き、ステージ上のMorfonicaを照らすという奇跡が起こります。『ぽっぴん’どりーむ!』のMorfonicaのステージは、紛れもなくその光景を追体験させてくれるものでした。

そして、このキャラクターとリアルライブのリンクの深化は、『ぽっぴん’どりーむ!』を通してのテーマでもあります。続くRAISE A SUILENは、ライブではお馴染みとなっているDRIVE US CRAZY前のコールアンドレスポンスを物語上の時限爆弾として機能させてきましたし、また、Poppin'Partyに至ってはライブではお馴染みではありながら物語とは縁遠かったTime Lapseがようやく物語を帯びて、つまりはキャラクターとリアルライブの間の距離がここに来て急激に接近するに至りました。Morfonicaの金色へのプレリュードは、そんな本作のコンセプトを端的にスパッと叩きつけてくる役割を申し分なく果たしてくれました。

 

カッコ悪いところを見せたくなかったから ~RAISE A SUILEN~

まず、あまりこういうことを言いたくはないのですが、『ぽっぴん’どりーむ!』を最初に観た後で、マスキング周りに関してだけは疑問符が尽きませんでした。ポピパのアコースティック版走り始めたばかりのキミにを聴いて涙したことも、そこからの怪我の理由がナマコというマヌケなものだったことも、RASのメンバーに何も言わずに病院に行ってしまったことも、全く腑に落ちるものではありませんでいた。合流後のメッタクソカッコいいドラムソロを見せられてある程度は溜飲が降りるのですが、やはりどこかモヤモヤが残るものではありました。

カッコ悪いとこ、見せらんねーしな!

2周目を観た時に、その疑問は全て氷解しました。冒頭部、グアム行きに昂り、Galaxyにて事前練習をしようとした時に、能々美子に向けて放った言葉。それがマスキングの動機の全てでした。何故走り始めたばかりのキミにを聴いて海岸へ足が向かったのか。号泣していてカッコ悪いところを見せたくなかったからです。何故怪我をRASメンバーに隠し続けたのか。ナマコで怪我したなんてカッコ悪すぎるからです。何故いつも以上に強情になってしまったのか。カッコいいと尊敬する宙姉ぇに無様な姿は見せられないからです。そもそも何故、走り始めたばかりのキミにを聴いて泣いたのか。それはまあ、ただ涙もろいからです。分かってしまえばあまりに単純なのですが、やはりこの辺り、モノローグを徹底的に使わないという綾奈ゆにこ先生のこだわりが良くも悪くも作用した部分だと感じました。とはいえ、こういう言外の感情を読み込むところに、BanG Dream!アニメシリーズの面白味があるのも間違いありません。

f:id:halkenborg:20220111012515p:plain

最終的に、RASの窮地を決定的に救ったのはレイヤの機転でした。ライブではお馴染みとなっているDRIVE US CRAZYのコールアンドレスポンスで会場を盛り上げながらの時間稼ぎ。これについてはおそらく意図したわけではないと思うのですが、この場面を観ている間、ガルパにて年末に開催されたRAISE A SUILEN 2章『CORUSCATE -DNA-』が僕の頭の中にはよぎっていました。Morfonicaがおそらくは『花明かりのシンフォニー』までしか反映されていないと述べたように、直近で開催されたRAS 2章が映画と連動したものと捉えるのは些か無理があります。ですが、この物語においては、ガルパに実装されてからの1年半、丹念に丹念に描かれ続けたRASのフロントマンとしてレイヤおよび和奏レイが逞しく立ち上がっていく姿がありありと描かれていました。ボーカルは……星……。道を決定的に分かちながらも、花園たえから授けられた言葉を胸に、RASの窮地を率先して救う形で、CORUSCATE――レイヤの姿は、その指針を示しながら誰よりも光り輝いていました。

 

夢は夢じゃないと歌う旅 ~BanG Dream!の今後~

以上が、『ぽっぴん’どりーむ!』本編についての感想となります。戸山香澄の原初の夢と未来に向けての夢をCiRCLINGさせ、そしてキャラクターとリアルライブがリンクする次世代ガールズバンドプロジェクトを更に深化させた、3期で一旦区切りを迎えたかに思えたアニメ軸のBanG Dream!プロジェクトにBreakthrough!を与えたものとして、全面的な拍手を贈れるものでした。とはいえ、作中でときめきエクスペリエンスという始点中の始点が終点を重なったことからも、『ぽっぴん’どりーむ!』自体もやはり1つの区切りではないかと思えてしまいます。

ええ、確かに、ときめきエクスペリエンスで終わっていたならば、僕もそういう結論を出して大団円として受け入れたしれません。ですが、『ぽっぴん’どりーむ!』には明確な“その先”があります。ときめきエクスペリエンスを終えた後に、星の約束でEDを迎え、そしてグアムの空港から日本へと戻っていく姿をコミカルに描きながら終幕します。そうです、まだ、続くのです。この壮大な夢を撃ち抜く物語は……。

f:id:halkenborg:20220111021046j:plain

『ぽっぴん’どりーむ!』のキービジュアルは、全員で腕を突き上げるポピパが描かれています。画像として引用してこそいませんが、MorfonicaやRASもやはり同様のポーズを構えるキービジュアルが用意され、それぞれグッズにもなっています。これ、おそらくは誰もが見覚えがあると思うのですが、日本漫画界の金字塔ONE PIECE」で麦わら海賊団がアラバスタ編で見せたポーズそのものです。Mr.2ボン・クレーの変装を見破る上のトリックとしても機能したポーズではあるのですが、それ以上にONE PIECEという作品そのものからそのコンセプトの多くを踏襲したものとして、受け止めるべきでしょう。数多の海を渡っていく海賊達にその姿を重ねたものは疑いようもないとして、アニメONE PIECEでは毎話のラストに印象的なロゴのTO BE CONTINUEDという一枚絵でその回を締めるのが通例となっています。そう、やはりこの物語はまだまだ続いていくのです。そして、ガルパ史上最高傑作の物語として輝きを放ち続けているPoppin'Party 3章『Live Beyond!!』で示されたように、それがどういう形で展開していくのかも、やはり明らかです。生きとし生けるものは全て戸山香澄になれるのですから、我々は高らかにこう宣言すべきなのです。戸山香澄に、俺はなる!!(ドン!!)

まあオタクの妄言はさて置き、この事実は本作のEDである星の約束からも読み取ることができます。STAR BEAT!の要素を散りばめつつも、あからさまに“永遠”や“これから”を歌い上げており、これからの展開を予感させる歌詞に仕上がっています。ですが、本質はそこではありません。中村航先生の歌詞以上に明確な答えが、実のところ楽曲そのものに仕込まれているのです。音源を手に入れている方は元より、ガルパに収録されたShort尺にも収録されているので是非とも聴いていただきたいのですが、ラスサビの「永遠を感じた夜に――。」の余韻を残しながら、1番や2番では存在しなかった非常に聴き覚えのあるキーボードの旋律が流れ始めます。このメロディに本当のメッセージが込められていると僕は受け止めました。この旋律は、1000回潤んだ空のイントロです。

夢は夢じゃないと歌う旅
青春を全部捧げていい
さあ…そしたら登る 一直線の光だ
みんな色の奇跡だ

夢を撃ち抜いたあと、また1つ夢を撃ち抜いて、それから戸山香澄が、Poppin'Partyが見る夢とは何なのか。それは夢は夢じゃないと歌う旅です。そして、その光景が、一直線の光であり、みんな色の奇跡であるというのは、『ぽっぴん’どりーむ!』が見せた幻想的な景色からも明らかでしょう。みんな色が世界中の人々にまで広がっているというのも、もはや語るのも野暮なほどに自明です。

 

Poppin'Partyの物語のゴールとは、全ての楽曲が物語を帯びることである

付言すれば、OPのぽっぴん’どりーむ!も、別の曲を暗に宿した楽曲となっています。3期のクライマックスを飾ったミライトレインのサビのギターパートがキラキラだとか夢だとか ~Sing Girls~イントロのフレーズをそのまま流用していたり、ガルパの箱イベント『Welcome to Open School!』を飾ったPhotographのDメロではCiRCLINGと全く同じメロディで間奏に向かっていたりと、最近のポピパ楽曲ではこうした過去の楽曲との重ね合わせが見られるのが特徴です。ただ、ぽっぴん’どりーむ!ではかなり分かりやすく、歌詞でそのリフレインが行われていたと感じています。

青と白 輝く島へ行こう!

本当に何気ない、どこまでも広がるグアムの空を歌い上げたようにしか思えない歌詞ですが、この歌詞には深く注意を払う必要があります。青と白は空や雲などという単純なものではなく、もっと大きな意味が込められているからです。

青い夢と(未来を)白い祈りと(決意を)

上記はSwitch版ガルパのテーマ曲となったキミが始まる!の歌詞の一節です。Switch版ガルパはサービス終了してしまうと形に残らなくなってしまうソーシャルゲームという形態のアーカイブとしての側面が強く、その意味でもこの楽曲をあまり重要視してはいなかったのですが、ここに来て急に重みを帯び始めました。『ぽっぴん’どりーむ!』にて戸山香澄とPoppin'Partyが新たに見定めた夢と未来、そしてその原点であったときめきエクスペリエンスで戸山香澄が捧げていた祈りと決意が、この時点で強固に結ばれていたわけです。そして、1000回潤んだ空にせよキミが始まる!にせよ、これまで物語を帯びていなかった楽曲でもあります。その事情は、ライブの定番曲でありながら、物語とは縁遠かった走り始めたばかりのキミにやTime Lapseがここに来てようやく物語と密接になってきた事情と重なります。その意味でも、『ぽっぴん’どりーむ!』はキャラクターとリアルライブのリンクの深化が大きな目的であったように思えます。

ときめきエクスペリエンスというこれ以上ない始点がCiRCLINGを実現しましたが、この曲以上にインパクトのあるCiRCLINGを成し遂げられる曲があるのかと言えば、実はあります。アニメ以前からの、BanG Dream!プロジェクトの全ての始まりの曲……そう、Yes! BanG_Dream!です。そして、Poppin'Partyの5人の始まりは、やはりアニメ1期8話の文化祭です。アニメ2期では無残にも失敗に終わったポピパの最大のアニバーサリー……そこでYes! BanG_Dream!が演奏される光景を、空想してやみません。つまりは、3年目の文化祭という最高の舞台で……。

別コンテンツに提供したタイアップ曲は流石に除くとしても、未だ物語を帯びずにここまで来ているPoppin'Partyの既存楽曲は、まだまだこれだけあります。

  • Yes! BanG_Dream!
  • 夏色SUN! SUN! SEVEN!
  • Light Delight
  • 切ないSandglass*3
  • What's the POPIPA!?

『ぽっぴん’どりーむ!』は、戸山香澄の原初の夢と未来の夢を繋ぎつつ、キャラクターとリアルライブのリンクを更に強固にしていく物語でした。その点を踏まえるならば、どちらかと言えばBanG Dream!プロジェクトがまだまだやり残していることがあるという印象を強く覚えました。これらの楽曲全てに物語を与えること、そこまでやってようやくPoppin'Partyの物語は本当の大団円になる――そういう強い意志のようなものを感じずにはいられませんでした。

 

アニメ4期を感じさせる要素は、他にもまだまだあります。『ぽっぴん’どりーむ!』のパンフレット、柿本広大総監督と植高正典監督のインタビューにて、Morfonicaのライブに対して「あの場面は彼女たちにとっても転機になるできごと」というこれ流石にちょっと口滑らしてもうたんちゃう? としか思えない発言もありました。4期等でMorfonicaの物語をやるつもりでなければ、このような“その先”を見据えた発言は出てこないでしょう。また、『ぽっぴん’どりーむ!』で最も強く違和感を覚えたのは、八潮瑠唯とレイヤの2人きりの会話シーンがあることでした。確かに、Morfonica登場当初に動き始めた劇場版であるため、その後のガルパのキャラクター同士の関係の広がりなどは考慮できていないでしょう。モニカとRASが相互に絡んだ代表的なイベントは『リトルローズ・ハーモニー』であり、当該イベントからはまだ1年も経過していません。このイベントの内容が反映される時期ではなかったのは間違いないのですが……だとしても、瑠唯とレイヤの組み合わせというのはいや、わざわざそこ拾う!? と驚いてしまうような、ニッチすぎる関係であると言わざるを得ないでしょう。

f:id:halkenborg:20220111032033p:plain

しかしながら、この2人を繋げる共通点が、たった1つだけあります。第4回ガールズバンド総選挙で優勝の栄冠に輝いた、ラスボステーマバンドです。思えば7つの選択肢の中でもこのバンドだけ明らかに異彩を放っていましたし、元より出来レース優勝させる心づもりがあったようにも感じられました。よくよく考えたら4つのリアルバンドのキャラ満遍なく入ってんなこのバンド! シャッフルバンドのテーマ曲は第2回の「ひとりじゃないんだから」もアニメ2期7話で披露する機会を獲得しましたし、この混成バンドに提供される楽曲がアニメ4期で見せ場を獲得することも想像に難くありません。

 

繰り返すようですが、『ぽっぴん’どりーむ!』は、戸山香澄の原初の夢と未来に向かう夢を繋ぎ、そしてキャラクターとリアルライブのリンクというBanG Dream!の根幹を更に深化させる物語でした。そして、今まで物語を帯びていなかった楽曲に物語的な意味を与えていき、2度目の進級後の物語を期待させるものでもありました。

来るアニメ4期で、そのリンクは更に強固になり、そして完全になっていくことを期待してしまいます。BanG Dream!は、まだまだ続いていく……それも、完成に向けて……。年明けから、その時が楽しみになってしまうような、そんな“これから”を感じる物語でした。

*1:03年版ではエンヴィー役。FA版では高山みなみさんに交代

*2:もっと言うとその前の八潮瑠唯の誕生日ガチャでも天井しました。くっそ~~~~~

*3:ガルパの方でかなり雑に『サマー・スローサマー』のテーマ曲になった事実があるため、この曲だけは物語を帯びなかったとは微妙に言いづらいところではあります。ただ、極めてメッセージ性の強い楽曲でもあるため、ポピパの物語の中で使われることを僕自身としても熱望しています。