矛盾ケヴァット

Twitter: @halkenborg

ブースターパック第2弾!!ガルパの美味しいところを厳選した、テーマ別イベスト集Returns!!

その時、歴史が動いた……。

離さないでくれて、ありがとう……

Craft Eggがガルパ運営から撤退するとの悲報から2ヶ月半、その間にもサーバー移管と見られる長期メンテや、Craft Egg解散の正式発表、そしてバレンタインイベントのストーリーが削られたりなどの段階的なカタストロフィを見せられ続け、終末モノの主人公ってこんな気持ちなのかなあ……などと、一つの世界の終わりを見届ける覚悟すらしていました。もう絶望と仲良くなるしかないのかなとさえ思っていた矢先、この吉報は舞い降りました。

なんとここに来て、イラストやシナリオなどの一部要素は請け負う形で旧Craft Egg体制が一部ながら存続することが確定。運営そのものは結局ブシロードゲームズというスクフェス2を即死させたとこなので依然として一抹の不安はありますが、ともあれ最も心配であったストーリー部分の担当チームが続投する(完全にかは分かりませんが)ことには何よりもの安心を覚えます。いやだって、7年近く丹念に積み上げてきた物語なわけですよ。これを急にアウトソーシングするなんて現実的に無理だと思っていました。やるとしたら様々なものを削る体勢になる形しか考えられなかったので、ここの大枠が変わらなかったのは本当に大きかったです。

森川修一社長を筆頭として、フロムトーキョー社に移籍してまでガルパを支えてくれる決断を下してくれた全ての方々に対して、最大限の感謝を申し上げます。勿論、サイバーエージェント系列各社に残った、或いは別会社への転職を志して異なる道を歩むことを決断した方々に対しても、これまでの尽力に心からの感謝を。

 

……さて、奇しくも同日。この大発表を前にして、とある巨大記事が投下されました。

MyGO!!!!!がアニメとしてきちんと跳ねたにもかかわらず、ガルパの読み方が根本的に難しいせいで新規に届けづらいという問題に真正面から立ち向かった良記事でした。記事内で紹介されている各種“デッキ”はやはりいきなり新規の方に飲ませるには過重な気はするものの、ガルパの旨味は掬い取れたものになっていると思います。もし、ガルパの物語に興味があって胆力のある方がいれば、是非とも挑んで頂きたいものになっています。

……とはいえ、僕も「ガルパのイベストは全部読め」と声高に言い続けてたタイプなのですが、それが他のオタクに響かずに悔しい思いをすることが多かった身です。暑苦しく喧伝し続けてたら、最終的には当時属していた界隈が不真剣部やら老害部やらを立ち上げだして僕だけハブられるという苦い思いさえしました。

しいはらりゅう先生の復帰もお待ちしておりました

まあでも確かに、年月を重ねる毎にボリュームが増えていくコンテンツであるだけに、一旦追えなくなってしまうとその負債が増え続けるというのは心理的負担が過大であるのは確かです。でも、それでも確かに声高に言えるのは、ガルパの物語は本当に面白い!ということなのです。そのことを広く知っていただくためにも、やはりもっとコンパクトな入り口が必要なのだという体感が切実なものとしてあります。そういう実感があってこそ書いたのが、It's MyGO!!!!!放映中に書いた以下の記事でした。

こちらの記事ではやはりポピパの導入を入念に行いつつ(だってここが一番難しいんだもん!)、MyGO!!!!!並びにAve Mujicaと共通していると思しきテーマを8つ取り上げ、それぞれ代表的な4イベストのセットを取り上げるという形式を取りました。上記のthzaqさんの記事がデッキだとするなら、僕の記事はブースターパックという立ち位置になるのではないかと思います(どういうわけかブースターパックの方が先に出てますが)。それ単体では戦えるものでは確かにありませんが、骨格たるデッキを強化できる、そして一種のテーマに沿ったカードを揃えてこだわりを感じさせるものにできたのではないかとは自負しています。

……さて、ブースターパックということは、別に第2弾を出してもいいわけです。Craft Egg撤退で一時は心配されたシナリオ制作体制は存続が決定しましたし、そしてガルパ7周年直前という絶好のタイミング。機は熟したと言えます。ていうよりはフロムトーキョー設立がめでたすぎて第2弾出してぇ……!! とか思っちゃったわけです。前回の記事で語れていないことも、あまりにも多かったですし……。

というわけで、本記事では前回と同様にガルパの各種テーマをピックアップして、その旨味を味わえる「とりあえずこの流れ読んどきな!」というイベスト4選からなるリストを7種をパッケージングして、合計30イベストをレコメンドした記事となります。……いや、ちょっと待ってくれ!? その掛け算は解がおかしくないかい!?

いえ、その理由は記事を読み進めれば分かると思います。なお、前作ではMyGO!!!!!ないしAve Mujicaとの関連を重視したテーマを選定しましたが、今回はその制約を取り払いました。より純粋に、ガルパの魅力が伝わるテーマを、7つ厳選したつもりです。ただ、MyGO!!!!!やAve Mujicaに接続しそうなら適宜言及しているので、It's MyGO!!!!!から入ってきた方もお楽しみ頂けるかと思います。

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恥の多い生涯 VS 恥を隠す人形 ~BanG Dream! It's MyGO!!!!! 13話感想~

絆創膏でも塞げない傷

前回のにゃむの意味深な発言から2週間。様々な憶測が飛び交い、もしかしたら実は豊川家が没落してない可能性もあるのではないかという説まで出ていたのですが、蓋を開けると祥子さま、コールセンターのバイトやってました。想像の遥か下を行く没落っぷりだよ!! 豪邸がまだ残っていることなど、まだ不審な点はいくつもあるのですが(後述します)、とりあえず豊川家の経済状況が思わしくないのはほぼ確定的になりました。

まあ月ノ森の先輩も2人ほどアルバイトをしてたりするのですが*1、先輩たちは社会勉強としての名目が強いのに対して、時給の高いテレオペを選択していることからも本当に喫緊にカネが必要になっていることが伺えます。それにしたって勤め先が最悪です。「株式会社ミネラル天然ライフ」というお昼のワイドショーの合間に健康食品宣伝してそうな胡散臭い企業で詐欺の片棒を担いでいる点からも悲壮感が漂います。あの日、「花にも命がある」と無垢に語った少女は、今や無知な老人からカネを巻き上げる悪徳企業の尖兵に……あ、前回の時点でにゃむ詐欺ってたか。ともあれ、今後少女たちを人形に変えていくヴィランのスタート視点としては頼もしすぎるくらいに、もうこの時点で既に修羅道くらいには堕ちているようです。まあ、クソ親父は餓鬼道に堕ちてるみたいなのですが。

燈に寄り添って「人間に、なりたいですわ~!」と畜生道から叫んだ少女が家庭の事情に振り回されて修羅と化しているのも痛ましいですし*2、そしてその叫びの源泉となった燈との絶縁シーンもまた悲痛でした。再三言及していますが、このノートは燈にとって1人きりの居場所であり、自分を外界から守ってくれるダンゴムシの殻だったものです。しかし前回、ようやくダンゴムシの殻を完全に脱ぎ捨ててステージに立てた燈にとって、今このノートは、もう逃げ場所ではなくなっています。ならばその殻を絆創膏のように、祥子の傷にも宛てがおうとしたのですが……祥子から突き返されたのは明確な拒絶。絆創膏で祥子の傷を塞ぐことは叶いませんでした。

確かに祥子の傷は絆創膏程度では塞ぎきれないほど大きいにしても、10話で燈は人間サイズの絆創膏になってそよの傷口に絆=ミュージックを響かせたのですから、傷の大小の問題ではありません。問題は祥子の、傷の質。祥子が傷ついてきたのはクソ親父との親子の縁、そして燈を見守っていたはずが楽奈の手によって春日影の思い出を塗り替えられるという、絆そのものが刃となるもの。つまり、絆を創ると書く絆創膏は、祥子の傷口にとっては塗りたくられる塩と同種のものです。

CRYCHIC解散の日、祥子は傘も差さずにずぶ濡れになりながら練習スタジオにやってきました。前回没落が匂わされた時点では、雨傘も買えないくらい困窮しているのかとさえ思いましたが、どうやら日傘の方は差しているようで、多少懐事情を楽観視できるようにはなりました。ですが同時に、やはり絆を拒む性質の傷なのがここで露わになったように思えます。碧天伴走の曲名からも、碧天=絆創です*3。夏の暑さの中、長袖の衣服に身を包み日傘まで差す祥子の心の傷は、燈が近づけば近づくほどに身を焼くものになっているようです。何しろ、高松燈さん、よだかの星になってしまったので……。

*1:広町七深がファミレスで、二葉つくしが羽沢珈琲店で。

*2:一応言っておきますが修羅道の方が畜生道より上位です。

*3:キズナミュージックは絆=ミュージックですし、キラキラだとか夢だとか ~Sing Girls~はキラキラだとか夢だとか=Sing Girlsでした。実はこの辺りバンドリの伝統です。

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不完全な迷い星 ~BanG Dream! It's MyGO!!!!! 12話感想~

利用されるだけの駒 ~祐天寺にゃむ~

敢えてMyGO!!!!!の話は後回しにするとして、今回最大の衝撃を帯びていたのは遂に物語に本格参戦してきた祐天寺にゃむでした。ただ己の名声欲のためだけにバンドに参加するという、剥き出しのエゴで行動する小悪党。なお、当ブログで予想してきた立希の姉だとかsumimiのメイクさんだとかの想定は見事に空振りしましたが、一番期待していた紫煙を燻らせてくれそうなキャラクター性なので結果オーライと言ったところ。これこれ! こういうゲスい大人が見たかったんだよ!!

ただ、現状のにゃむは祥子に利用されるだけの駒でしかありません。祥子はにゃむちの動画に目をつけた理由を顔と数字と言い放ちますが、後に顔も名前も伏せるバンドになるのですから、結局は顔も数字も無意味です。最短でデビューすると豪語してにゃむを説き伏せるわけですが、その末に祐天寺にゃむの顔も名前も世間に轟くことはないでしょう。結局欲しかったのは、両利きでトリッキーな演奏ができる、その純粋な音楽性のみ。祐天寺にゃむの“人間性”は一切必要とされていないわけです。かつてRAISE A SUILENのチュチュが自分の手足代わりに音楽を奏でるメンバーを集めたのと同種のものを感じもしますが、チュチュはメンバーに今まで抑圧されていた欲望を音楽にぶつけることを要求してもいたものです。それを思うと、同じようにスカウティングをしていながらもにゃむの名声欲を覆面で押さえつけることになる豊川祥子は、チュチュとは正反対の抑圧側の存在ということになります。尤も、三角初華などはそれによって救われるようなので、キャラクターによりけりという面はあるようですが……。

ところで私欲のために他人を利用しようとした奴と言えば既に長崎そよが存在するわけですが、8話でそよの真意を易々と理解したのも、やはり同族の匂いを感じ取ったからなのかとも思います。にゃむとの交渉の際には親友の初華の名前を撒き餌にしてでもこの未完の天才ドラマーを獲得しようとしたわけですから、悪辣さと強かさにおいては長崎そよの遥か上を行っています。

また、7話の記事では初華の才能に全面的に寄りかかったように考察してしまいましたが、にゃむの両利きという才能を見抜いた描写から、その可能性は無いと考えを改めました。明らかに豊川祥子も、椎名立希が劣等感を覚えるのも無理ないほどの音楽的な天才です。Ave Mujicaの作詞は三角初華としても、こうなってくると作曲は豊川祥子と考えるのが筋かと思います。7話で初華に向けていた鬼気迫るような目線も、憎悪や嫉妬などではなく、親友を利用してでものし上がると決めた、左道に堕ちた修羅のそれだと今ならば分かります。かつて、花にも命があるとまで語ったロマンチストの姿は、今やもう見る影もありません。

衝撃的だったのは、初華の事務所にはもう話をつけていると明言されたことでした。純田まなどうすんの!? ただ、事務所公認で初華を引き抜けたとするならば、Ave Mujicaが覆面バンドになることも頷けます。初華の事務所を納得させるには、初華とは別人として活動する必要があった。そこで覆面を被った謎の集団として活動することで事務所を納得させた……こういうストーリーが浮かんでくるわけです。やっぱり覆面レスラーじゃないか……。

つまりは、Ave Mujicaは覆面で活動することが端から宿命づけられていた……わけなのですが、そうなるとにゃむがその条件を飲んだのは不思議にも思います。なので、祥子はこう囁いたのではないでしょうか。覆面を被るのは最初だけ、いずれは拭い去るつもりですわ、と。言ってしまえばサギなのです。あ、最近触れてませんでしたがこれも豊川祥子の「鳥」ですね。

小悪党としての振る舞いが目立つ祐天寺にゃむですが、現状置かれている立場は祥子に騙されているだけの被害者。そしてこの点で、にゃむ以上の被害者が周辺にいるのもまた事実。にゃむとしては自身のチャンネルという武器があるのですから、自分が騙されていると分かった段階で、純田まなと共謀して祥子に反逆する展開さえ予想されます。そう、例えば、「まなちゃん裏切られてたんだよ~! 可愛そうだよね~!」と自身のチャンネルで祥子を告発する動画を上げる感じで。

それにしても、チュチュの流れを汲むのならば、祥子がAve Mujicaにおける名付け親になるのが自然のはずなのですが、今回明かされた祐天寺にゃむのキャラクター性からアモーリス(愛)の欠片も感じないのも気になります。果たして祥子が何を思って祐天寺にゃむというチョロい手駒に愛を名乗らせたのか……。ところで、祥子の周囲には、愛音という名のウザい奴がチョロチョロしているわけですが、まさかあいつが由来なんてことは……。

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途切れても続く物語 ~BanG Dream! It's MyGO!!!!! 11話感想~

共感と産声の涙

10話の詩超絆にて遂に想いを一つに……は出来てないにしても、共感の涙を流し合うことはできた高松燈たち。このブログはちょくちょく誤答をやらかしてますし、音楽が声にならない想いを届けた物語を言葉にするのも野暮だと思って、代わりに26000字のバンドリ新規向けガイド記事を書く狂気に及んだわけなのですが、今回冒頭のやり取りにてその涙の意味がきちんと語られて、こちらとしても安心しました。

そよも愛音も、そして最初に泣いた立希ですら、自分が泣いた理由を口々に「分からない」と零しますが、最後の最後に泣いた燈だけはその言葉が出さなかったのが一つの答えだったと思います(そもそも泣いてない楽奈は数えないものとして)。詩超絆の歌詞が語る通り、燈がこの詩(うた)を通して伝えたかった想いは、一緒に泣きたいし一緒に笑いたいその気持ちがそよにも皆にも届いてほしい。その燈の言葉と想いを最初に受け止めた立希が共感して泣き、その立希の涙に共感した愛音が次に泣き、立て続けにそよの目にも涙が浮かびます。

ただ、そよの涙に限ればまだ2人に共感したわけではなく、立希と愛音の間に挟まれる立ち位置のそよが雰囲気に流されただけという感じでした。ただ、そこから紡がれる燈の言葉が怒涛のように押し寄せ続けることで、既にヒビが入っていた涙腺のダムは決壊し、燈の気持ちに心の底から共感した涙が滂沱のように流れ出すに至りました。それは自分の中には本来無かった、けれども寄り添える気持ちではあったからこそ、呼び覚まされた無自覚な感情でした。

同時に、ずっと離婚や引っ越しなど大人の都合に振り回されて自分を心の声を押し殺していた少女が、ようやく上げられた産声でもあります。子供になれなかったママは、ライブハウスに聴衆として現れることで……おそらくは祥子がしたのと同じように途中で逃げ出す算段で「終わらせに来た」はずなのですが、高松燈がモーセのように人の海を帝王切開することでその計画は破綻します。10話は大変感動的な内容でもあるのですが、この回を最初に観た瞬間の率直な感想としては、「泣ける!」よりもカタルシスやっべ!!」の方が適切でした。ただ、長崎そよからすればようやく誕生して酸素を吸えたに等しい境遇だったのですから、誕生の喜びを感じてドーパミンを大量放出するのも、視聴者サイドからすれば一種の共感の在り方なのではないかと思います。僕としても、10話を3周目ぐらいした辺りからようやく、快感よりも嬉し涙の方が出てくるようになりました。

なお、11話冒頭では、詩超絆のパフォーマンスを追えた後の観客の拍手がまばらだったのが大変示唆的でした。それこそポピパさんなどは3期最終話で武道館でライブした際に、会場全体で「ポピパ!ピポパ!ポピパパピポパ~!」を叫ぶくらいの一体感に包まれていただけに、10話のあの詩超絆のパフォーマンス後に対するリアクションとしてはあまりに薄すぎるようにすら感じてしまいます。ただ、それこそがMyGO!!!!!のテーマを際立たせていました。このライブを目撃する観客の中には、泣きじゃくりすぎて拍手どころではない者、またその勇姿に感嘆して素直に拍手する者、そして何が起きたか分からず一切共感できてない者など、受け止め方はあまりにも多種多様でしたが、それでいいのです。そもそも、バンドの中ですら要楽奈という全く燈の歌詞に共感していない奴がいるのですから。

すなわち、このライブで起きた出来事に、共感しすぎた者と共感できなかった者は拍手ができなかったのです。そして、半端に共感した者だけが拍手をした。それがあのまばらな拍手の正体でした。その点では初見では興奮の気持ちが強く、3周目くらいでようやく涙できた僕は、このライブを目撃したならば迷わず拍手をした立場の半端な共感者です。ただ、根っこから共感できた者は、おそらく拍手ができなかったでしょう。拍手が全ての誉れではない。むしろ拍手されないことさえ時に誉れという、演者と観客の在り方の難しさを巧みに表現したライブ後の光景になっていました。

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MyGO!!!!!から入ってきた人のための!迷子にならないバンドリ&ガルパの案内図

えー、It's MyGO!!!!!10話が凄すぎたというか、言葉で通じ合いきれない関係を音楽で分かり合うという表現をこれ以上ないくらいの映像と感情の説得力でやって来て本当に脳汁ドバドバ出まくってしまいました。同時に、感想記事を書く(言葉で語る)のこれ野暮じゃない? という気持ちになってきたので、10話の感想記事はナシにします。多分言葉尽くしちゃダメだよこれ。11話の感想記事である程度触れるとは思いますけど。

代わりにと言っては何ですが、It's MyGO!!!!!からバンドリに入った人のためのバンドリ入門記事を今回は書くことにしました。「フン、おもしれーアニメ……けど今からバンドリ触るのもダルいんだよな……」とお考えのそこのアナタ! その考えはおそらく正しい。ほとんどバンドリが日常の一部のようになっている僕のような狂人はともかく、これから入る人間にとって、今のバンドリは少々大きすぎるものになってしまいました。まあその新たな入り口として打ち出したのがIt's MyGO!!!!!ではあるのですが、MyGO以前のバンドリを知っていただくのはかなり難しい状況にあるのもまた事実。というわけで、少しでもバンドリに興味を持ってくれた方に向けて、バンドリという広大なコンテンツで迷子にならないようにサポートするのが本記事の趣旨になります。特にガルパの方に重点を置いていますが、多くの新規ファンの方にとっての地図のような記事になれたら幸いです。

 

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心の壁が出来たからこそ ~BanG Dream! It's MyGO!!!!! 9話感想~

お世話を焼きたいママ ~長崎そよ~

9話の開幕は、遂に長崎そよのバックボーンが語られるところから始まりました。タワマン上層住まいなこと、家庭が一度壊れていること、夜の街を出歩き放題なこれまでの情報から、親の再婚があって母親が玉の輿に乗ったけど娘を構えていない家庭かなあと予想していましたが、蓋を開ければ玉の輿どころかバリキャリなママが離婚後に一代で財を築き上げたという想像だにしないパワフルさで仰天する他ありませんでした。一代どころか、そよの姓が一ノ瀬から変わったのも小5の頃で、転居の際にどの中学に入るかを相談していることから、この間僅か2年弱です。成り上がりのスピードが異常すぎない!?

まあ2年後のそよの胸の豊かさを思えば財力もそれくらい豊かになるかと納得してしまいました。結局のところ、そよは母の勧めもあって月ノ森に進学。その後は友人に懇願されて吹奏楽部に入部。そして祥子に勧誘されてCRYCHICを結成と、このママの人生は全て他人に流されて決まっています。特に月ノ森に進路を決めた経緯はそよママのママ(紛らわしい!)が月ノ森ブランドに娘を染めたいまるで自分の意志がないような戦慄を覚えてしまいますが、よく見るとそよはそよなりの理念を持っています。そよママのママや同級生から甘えられると満更でもない表情を浮かべていますし、祥子たちがカラオケボックスで戸惑うやニコニコと助け舟を出しに行きます。なるほど、他人のお世話をするのが大好きという、山吹沙綾や今井リサによく似たパーソナリティが見て取れます。

そもそも、そよの母が本当に裸一貫からここまでのサクセスを手にしたとは考えづらく、聖翔の学年主任をするなど離婚前からある程度稼いでいたと考える方が自然ではあります。となれば……それを損なって余りあるほどに、父である一ノ瀬くんが常軌を逸したダメ人間で、借金すら抱えていたような境遇だったのではないでしょうか。長崎そよ、親ガチャの大当たりと大外れを同時に引いています。そよママのママからすれば、足を引っ張りまくるダメ夫を切り捨てることは1人の女性として生きるには絶対に必要だったのでしょうが、おそらくそよにとってはそのダメ人間なパパが必要でした。お寝坊してよ! また私に、お世話焼かせてよ!! 世話焼き女房として相手に依存することで自分の価値を感じられるそよにとって、両親の離婚はその依存先を失う出来事だったのではないかと思います。ママも帰ってきてくれれば甘えてくれますが、やはりいつもは家にいてくれない吹奏楽部でも頼りにされてはいますが、おそらく事前知識もなく周囲に頼まれて引き受けたであろうコントラバスは、部に1人いるかいないかの孤独なパート。そんな空虚な中学時代を過ごしていたそよに依存先をくれたのが、カラオケボックスで珍道中を繰り広げるくらいには常に世話焼きできるポンコツ集団のCRYCHICでした。

付け加えて言えば、そよの母もちょっと依存的な傾向があります。仕事に疲れて娘のそよに甘える様子もまさにそれなのですが、根本的に2年で一財を築ける才覚を持ちながらダメ男に絆されて10年以上もボロアパート暮らしに甘んじた時点で、ちょっとこう、だめんずうぉ~か~(死語)の匂いがプンプン漂ってきます。一ノ瀬くんは間違いなくどうしようもないダメ人間だったのでしょうが、そよママのママにとっては捨て去る決断がなかなかできない人だったのでしょう。この諦めの悪さと依存性が、CRYCHICを捨て去れなかったそよに、見事に遺伝しています。尤も、母は離婚によってきちんと依存を断ち切れたので、この娘にも同じことが出来ないわけはないのですが、どれだけ孤独に懊悩し続けたのか、弄られ続けたその爪はガジガジになってしまっていました。



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MyGO!!!!!記事番外編:焚音打の歌詞に見る「そよ風」の吹く方向

アニメも毎回盛り上がっているところですが、リアルバンドの方のMyGO!!!!!も5thライブ「迷うことに迷わない」が間近に迫ってきました。僕自身はリアルタイム配信で視聴しようと思いますが、アニメの方がバンド結成前からこんなボロボロな中で、果たしてリアルバンドがどういうパフォーマンスを見せてくれるのか、色々な意味で楽しみが増してきています。あ、いや勿論普通に盛り上がるとは思ってるんですけど。

さて、今回の記事はどーせ9話の感想記事が5thライブ前に上げられないのと5thライブに脳を焼かれて9話の記事が上がるのが絶対に遅れるのが分かり切っているのと、あとは何より最新シングルに収録の焚音打があまりに歌詞考察のしがいのありすぎる楽曲だったため、9話の記事が遅れる穴埋めも兼ねて更新したものになります。まあでも結構核心突いたこと言ってると思うんで軽い気持ちで読んでみて下さいな。いつもと違ってそんなに字数ないからさ。

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