矛盾ケヴァット

Twitter: @halkenborg

【キコニア】つまり、地球はホンオフェ化されて、人体から霊素を発生させていたんだよ!!

以前ふせったーに書いたものを、大幅にブラッシュアップしました。完全に勘違いしていたり、理解不足だったりした部分も多かったので……。

また、以前はドライツィヒ変換も本説に絡めていましたが、考察が全く足りていないと判断し、本記事での取り扱いは断念しました。しかし、ドライツィヒ変換を考察する下地として、本記事が貢献することを祈ります。

 

 

1. 霊素の発生源

マリオの発明品によって環境8MSが次々と破壊され、地球にはアンモニア臭が充満していく――。地球が8MSの加護を失ったとでも言うべき描写でしたが、少し発想を変えてみましょう。このアンモニア臭も、別の何かを護っているのでは?

アンモニア臭と言えば、フラグメントの臭い料理対決。アンモニア臭のするサルミアッキは味付けとして塩化アンモニウムを使用する料理ですが、その後登場したシュールストレミングは、腐敗を防ぐための副作用として臭いが発生します。シュールストレミングの臭いはウンコに近いものらしいのが大変残念なのですが(は?)、臭さ世界第2位のホンオフェは強烈なアンモニア臭の発酵食品です。ガンギエイを堆肥とともに発酵させ、壺に入れて冷暗所にて発酵させるという製法です*1

つまり、「何らかの有機物」を腐敗から守るために地球全体を発酵させ、その上から8MSで消臭をしていたとも考えられます。言わば地球全体のホンオフェ化。その「何らかの有機物」がガンギエイ、そして壺が8MSにあたり、二重に防腐処理を施されているわけです。では、「何らかの有機物」とは何でしょう? ここで、唐突ですがヨハネの黙示録を引用します。

6:9 小羊が第五の封印を解いた時、神の言のゆえに、また、そのあかしを立てたために、殺された人々の霊魂が、祭壇の下にいるのを、わたしは見た。

6:10 彼らは大声で叫んで言った、「聖なる、まことなる主よ。いつまであなたは、さばくことをなさらず、また地に住む者に対して、わたしたちの血の報復をなさらないのですか」。

祭壇の下の人々の怨嗟の声が聞こえてきますね。ちなみに、黙示録ではこの直後に第六の封印が解かれると、大地震が起こります。もうお分かりでしょう。ホンオフェ化されているのは、地中に埋められた人間たちです。第3次世界大戦の犠牲者、あるいはそれ以降の犠牲者を地中にボッシュートし(パンドラの被検体の扱いがこれを示していると考えられます)、発酵保存させているのです。

では何故、地中に人間を埋めて発酵させるなどという回りくどいことをしているのか。これも速やかに答えが出ます。霊素の生成に人体が必要だからです。

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ついでに、吹き出物の原因もこの蒸気という噂もあるようですね*2。つまり、本来は有毒・悪臭な蒸気を8MSで浄化することでクリーンな水蒸気のように見せかけていたということになります。

 

2. 霊素と希少霊素の違い

とはいえ、地中で発酵させた人体が霊素の発生源であるとすれば、A3Wにおける各陣営の霊素資源の保有力についての説明ができません。単純に考えれば、死体が多ければ多いほど霊素を獲得できることになりますが、そうだとすると中国やインドを陣営に抱き込んでいるCOUが最資源国になっていなければおかしいのです。しかし、実際にはLATOが最資源国として君臨している……。この問題を解明するには、霊素と希少霊素の違いについてしっかりと考えなくてはなりません。

ところで、本記事で「死体」という単語を出したのは上のパラグラフが初めてであることに気づかれたでしょうか。1章では「死体」という言葉は使わず、故意に「人体」および「犠牲者」と呼ぶにとどめました。これは、ぼくが生きている「犠牲者」も発酵保存されていると考えているためです。

この生きている「犠牲者」が希少霊素の発生源です。もう少し踏み込んで表現しましょう。生きているか死んでいるかどうか分からない状態で人体を廃棄し、霊素の発生源としているのです。その一例が、やはり先程も挙げたパンドラの被検体たちです。パンドラの被検体は、多幸感のあるヒュプノシンを多量投与されるという”人道的措置”を施されて奈落の底へと落とされます。そう、彼女たちは、決して殺されたわけではない。とはいえ、死んでいると考える方が妥当であり、生きているというのは非常に稀有な、”希少”な可能性――つまりはその生きている人体から希少霊素は生み出されるというわけです。

 

3. 霊素をエネルギー変換する方法

さて、ここまでで霊素の発生源が、生きているか死んでいるか分からない人体であるという仮説に達しましたが、どうでしょうか? うみねこプレイヤーであれば、これと似たものに心当たりがあるのではないかと思います。そう、シュレディンガーの猫ですよ。

猫箱の猫は生きている状態と死んでいる状態が重なり合っており、箱を開いて”観測”された瞬間に生死が確定するのでした。これと地下で発酵保存されている人体は、これと全く同じ状態にあると言えます。そして、霊素がエネルギー資源であることを考えるとここから一つの可能性が導き出されるます。霊素をエネルギー化するためには”観測”が必要であるというものです。

そして、「霊素とは何か」という、ここまで敢えて答えないようにしていた問題についても、ここでようやく答えが出せます。霊素とは、発酵保存された人体の生死の”可能性”である

ところで、情報量という概念をご存知でしょうか。これは、生起確率の低いものほど値が大きく、高いものほど値が小さくなるという情報理論上の概念です。また、全ての事象の情報量の総和を情報エントロピーといい、この情報エントロピーと、熱力学でお馴染みのエントロピーの概念は密接に結びついているらしいのです*3

発酵保存された死体の生死を”観測”により確定させることでエネルギーを取り出す、これこそが作中で登場する「霊素機関」の原理であると思われます。そして当然、死んでいる可能性の方が高い人体を観測した結果、死んでいるよりも生きていると確定した方が情報量が大きく、つまりは莫大なエネルギーを取り出すことができると言えます*4。これが霊素と希少霊素を分かつ根本的な差だと言えるでしょう。希少霊素の霊田に恵まれたLATO、実はとんでもない地獄なのでは……。

 

4. 霊素機関についてもう少し具体的に

ぼくはふせったーの段階では、以上の霊素変換技術を指して「これがドライツィヒ変換の正体だ!」などと早合点して息巻いていました。いやー、恥ずかしいですね。今はその考えを改めています。観測するだけならば機械でも出来るからです。

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本記事ではドライツィヒ変換については取り扱わず、通常の「霊素機関」について考察するにとどめます。

地中から汲み上げた霊素を、霊素機関によって変換し、各種インフラ・家電製品のエネルギーに変える。その際に、霊素の蒸気が発生する。これが霊素機関の大まかな理解で良いでしょう。

ここで重要なのは、まず霊素の蒸気です。蒸気機関における蒸気がそうであるように、この霊素の蒸気もおそらくはエネルギーに変換する際のロス、つまりは排気ガスであると考えられます。この排気ガスが8MSの浄化を受ける前はアンモニア臭を発し、吹き出物のような健康被害をもたらすと噂されているのでしたね。

であれば、霊素機関ではこの蒸気を発生させないといけないのですから、実際に霊素機関に投入されている動力源についても解が出ます。地下で発酵保存された人体が実際に汲み上げられて動力源にされていると考えるのが道理でしょう。そして、人体のバイタル情報か何かを機械で”観測”し、エネルギーに変換しているというのが、より具体像を与えられた霊素機関の姿であろうと思われます。

付言しておくと、この変換前に”観測”が行われないよう細心の注意を払わねばなりません(”観測”した瞬間に事象が確定してしまうため)。「観測をしないための技術」については心当たりがあるので、次回の記事で詳しく書こうと思います。

 

結び:ドライツィヒ変換に向けて

以上で、霊素に関連した各種描写は、ドライツィヒ変換を除いては拾い上げて体系化できたのではないかと思います。以下、簡単にまとめておきます。

  • 地球は人体の発酵保存と8MSの浄化による、二重防腐処理を施されている
  • 人体を生死不明のまま地中へと廃棄することによって、霊素の発生源としている
  • 人体の生死の可能性が霊素。とりわけ、生きている人体が希少霊素となる
  • 霊素機関は、汲み上げた人体の生死を機械的に観測することでエネルギーを取り出す

ところが、ドライツィヒ変換について考えるにはこれらの原理とも違う、いくつもの疑問が持ち上がってきます。これらの疑問について答えを出せなければなりません。

  • 「汲み上げた霊素」とも違う「大気中の霊素」とは?
  • 人間の脳、とりわけパラレルプロセッサーの脳でなくては不可能な理由とは?
  • 通常の霊素機関よりも遥かに高効率な理由とは?

ここで、ぼくが現状仮説とも言えない「思いつき」として浮かんでいる考えを1つ披露します。それは、”観測”で取り出すエネルギーとは別に、観測した事実に対する”意味付け”を人間の脳が行うことで更にエネルギーを取り出すというものです。観測だけなら、確かに機械にもできるでしょう。しかし、機械はそれをただのデータの羅列としか表現も認識も出来ません。観測した事実にどんな意味があるのかを考え、尊厳を与える・奪うことができるのは人間の脳にしか出来ない行為――本作のテーマから類推するとそんな落とし所になるのではないかと考えています。

シューニャ、シーニュ、シニフィカシオン。このシニフィカシオンとは、ただの記号でしかない音声に、意味を与えるということでもあるのです。

*1:ホンオフェ - Wikipedia

*2:あくまで噂と切り捨てることも可能ですが、なく頃にシリーズにおいてこうした描写は往々にして何かしら意味があるものなのです。

*3:スイマセン、この辺は全く詳しくないので近々書籍を当たります。この本が手頃で良さそう:https://www.amazon.co.jp/gp/product/B00GHHXPK2/

*4:「おいちょっと待てよ、生きている人体は自分自身を、それどころか周りの人体の生死も観測できるんじゃないのかい?」と思われた方もいるかもしれません。ただ、やはりまたパンドラの被検体を思い出してあげて下さい。彼女らは、高濃度ヒュプノシンを投与された夢見心地の状態で地下へとボッシュートされているのです。そんな彼女らに、自分或いは周囲の現実を観測できるでしょうか……。