矛盾ケヴァット

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【キコニア】COUのスパイ割り出しと、『大浴場共和国』構想

またまた(主にバンドリにかまけたせいで)キコニア記事は間隔が開いてしまいました。直近でキコニアについて考察したパラレルゲームマスター記事にて、次は当該記事の後編になると予告しましたが、嘘をつきました。上記記事の最後に追記はしておいたのですが、駒の定義が出来ずにいるため、後編記事は無期限凍結とします。うーん、無念!

そんなわけで久々のキコニアリハビリ記事は、初心に立ち返ってスパイの割り出しを行いたいと思います。現状、僕の考察ではギュンヒルド、レア、ヌールの3名をジェストレス配下のスパイとして断定しており、レアとヌールについては上記の記事でその根拠も記述しています。そして今回、延期前のPhase2発売日直前になってようやく、COUのスパイ割り出しにも成功しました。ある程度、根拠も説得力のあるものになっているかと自負しています。

 

勿体ぶることでもないので結論から述べますが、COUのスパイはアイシャです。『預言の刻』の章で大浴場騎士団の掟よりも保身を優先した態度からも怪しさ満点でしたので「なーんだやっぱり」と思われるかもしれません。しかし、大浴場騎士団に懐疑的だった人物はコーシュカやスジャータなど他にも存在しますし、アイシャがジェストレスと繋がっていなくても、元々都雄を信用しておらず戦争で武勲を上げるつもりの人物だったとしても何の不都合もありません。あの一連の言動だけでスパイと決めつけるには、あまりにも動機や証拠として弱いと言わざるを得ないのです。

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今回、アイシャをスパイと断定する決め手となったは例の自己保身に走るシーンではなく、『平和の価値と本当の重み』の章に登場した上記のセリフでした。このセリフは「戦争を面白半分で煽り立てる連中の頭を冷やす術はないのか」という都雄の発言への返答であり、皮肉交じりながら大変違和感のあるものです。

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陣営が違うとはいえ、AOU日本では戦争慎重派の防衛大臣への暗殺未遂が起き、その後醜聞がリークされるなど、今の社会情勢でクリーンな政治力が作用しているとは到底言えない状況です*1。ましてやアイシャはカネとコネが物を言うCOUの人間であり、そんな陣営で育った人間が「この戦争まっしぐらな社会を政治で食い止める!」などという理想を持ち得るとも思えません。アイシャのこの発言は現状の異常な社会の動向を踏まえるならあり得ず、平時でもCOUというお国柄からあり得ない、二重に違和感のあるセリフなのです。

だからと言ってジェストレスのスパイだと決めつけるのもまだ早計です。アイシャが第九最上騎士団に属しているならば、三人の王が権力中枢を完全に牛耳っていて、表面的な政治力は完全に無力だと知っているはずです*2。うーん、これは困ったことになりました。スパイでないとしてもこのアイシャの発言は不自然なのですが、スパイだと仮定すると更に不自然ということになってしまいます。

皮肉屋のアイシャのことなので、これを本心からの言葉だと受け取るのは確かに問題なのですが、だからと言って会話の流れから当たり前に出てくる発言とは思えません。この発言にはきちんとした意図があると考えるべきです。

 

 

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結局、答えはキコニアのテキストにありました。アイシャの発言の直後、ギュンヒルドがこれに同調しています。地味な描写ではありますが、先程の議論を踏まえればこれは極めて重要です。スパイでなくても不自然極まりないアイシャの発言に、スパイ濃厚なギュンヒルドが同調しているわけなのですから*3

詳細を触れるのは避けますが、ギュンヒルドの立ち位置はジェストレスのスパイだが、面従腹背して独自の勝利条件を持っていると考えています*4。では、アイシャもギュンヒルドと同じ立場なら? 即ち、三人の王およびジェストレスの企みをある程度知れる立場を利用して、それをぶち壊そうとしていると考えたら、実のところアイシャの政治家転向発言は驚くほどあっさりと説明できてしまいます。

考え方を変えましょう。三人の王によって牛耳られているのは既存の政治力です。アイシャの発言に違和感があったのは、「既存の政治力のもとで政治家になれ」という意味で解釈するからでした。そういうチンケなスケールではなく、ガントレットナイトによる独立国家を作るくらいの新しい政治力を持つ必要があるという意味であれば、その実現可能性はともかく、発言の違和感はなくなります。新しい政治力ならば今の社会情勢やCOUの政治腐敗と擦り合わせる必要はありませんし、三人の王の権力の大きさをむしろ正しく理解しているものと言えます。今こそ、ガントレットナイトが一致団結し、第6の国家として三人の王に立ち向かうべきなのです。ウオオオオ、建国するぞ、大浴場共和国!!!

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現状では、大浴場共和国の建国には大きな足枷が存在しています。ガントレットナイトの強さを裏付けているのは言うまでもなくガントレットであり、そのガントレットを管理しているのは国家です。それ故にガントレットナイト達は国家の支配を逃れられずに苦しんでいるわけですが、逆に言えばガントレットの管理権さえ国家から剥奪できればガントレットナイトは正真正銘自由ということでもあります。

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よくよく考えれば、フィーアの地下研究所、そしてラストで鈴姫が装着していた黄金聖衣のようなガントレットは5つの国家とは無関係です。これは即ち、ガントレットの管理が必ずしも国家による必要がないことを意味しています。この他にもセシャトのガントレットなども5陣営とは違った独自のデザインでしたし、やはり当然に国家に管理されていないものでしょう。

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そして鈴姫のセリフにも注目が必要です。鈴姫が黄金聖衣ガントレットを装着するに至った一番の動機は仲間の死を背負うことであり、『預言の刻』で仲間の死を背負うよう焚き付けたのは誰あろうアイシャでした。このことから、アイシャの所属はフィーアの地下研究所陣営と結論付けられます。既存の国家以外の政治力に価値を感じているアイシャにとって、既存の国家以外の組織に管理されるガントレットを保持する地下研究所こそが、本質的に忠誠を誓える陣営なのです*5

 

以上が、COUに潜り込んだジェストレスのスパイをアイシャだと断定する根拠になります。これにより、AOU:ギュンヒルド、COU:アイシャ、ABN:レア、ACR:ヌールという形で、僕の各陣営のスパイ考察が出揃いました。以前の記事でも述べましたが、ジェストレスが潜伏させたスパイは各陣営に最低でも1人と読むべきですし、LATOの2人がスパイでないとも限らないため、スパイ探しがこれで終わったわけではありません。とはいえ、これまでずっと導出できなかったCOUのスパイが割り出せたことに、ひとまずの安堵感を覚えています。

最後に、補足になりますが、大浴場共和国ことDYJ*6が本当に建国できそうだという可能性を1つ指し示し、本記事を締めくくりたいと思います。

実のところ、ガントレットナイトの能力においてガントレットはただの飾りの可能性すらあると僕は考えています。上記の記事で一度考察したのですが、少なくともディメンジョンコンテナとリジェクションシールドはガントレットに依存しない技術です。この記事では8MS制御と兵器管制についてはガントレットから切り離さずにおきましたが、それらがガントレットと無関係の技術だったとしても何の驚きもありません。ガントレットナイト技術の本質は8MS、セルコン、そして子供達の高P3値であり、言ってしまえば、ガントレット子供達にお前らは国家の管理下にあるんだと自覚させる首輪としての機能が最も強いようにすら思えます。ガントレットを装着しないとガントレットナイトではないという固定観念を捨てた時にこそ、子供達から首輪が取れ、本当の意味での自由の翼が与えられるのです。

とはいえガントレットが国家から子供達への首輪になっているように、セルコンもマザーコンピューターから人類への首輪になっているとは思うのですが……。

 

*1:当該暗殺描写は『世界同時多発紛争』の章であり、時系列的にもアイシャのセリフより2週間ほど前のことにです。

*2:ジェストレスが三人の王の存在まで手駒のスパイに公開しているかは疑問の余地がありますが、少なくとも自分達の所属している騎士団が世界を大きく動かす権力に深く繋がっていることくらいは知っていないと活動に支障が出るでしょう。

*3:陣営の違うアイシャが柚木防衛大臣の暗殺を知らなくても情報統制などでギリギリ説明がつきますが、ギュンヒルドがそれを知らないのはいくら何でも通用せず、この同調はアイシャ以上に不自然です。

*4:実のところ、僕もギュンヒルドの勝利条件についてきちんと考察できているわけではありません。ただ、今回の記事がそのヒントになりそうですし、今後ギュンヒルドについても細部を詰めたいところです。

*5:この結論は、ジェストレスとフィーアが対立関係にあるという前提に基づいています。

*6:Dai Yoku Jou